ささくれ
四月にあった演奏会はお客さんだった。
まるっと1曲は自分のところのメンバーだけでの演奏だったけれども、
その他の曲では主催の会のメンバーさんにまぜてもらって出演する。
この会は関東方面から現代曲の作曲家&演奏家の先生をお招きしての企画。
なかなか辛口な先生でお褒めになることは少ないらしいが、
どういうわけか、我々の社中のメーン曲の本番を褒めてくださったらしい。
でもねー、
やっている本人たちは「微妙・・・」と思いながらの演奏だったの。
でも、
その先生だけではなく、客席の反応も良かったみたい。
意外な方から「良かった」と言っていただくこと多数。
なにが評価されたのだろう?
と分析する我々。
高ツボの多い曲ながら、まあまあ合っていたので音程と拍子という、ごくごく基本的な部分は押さえていた。
でも、その主催会の下合わせをみていると、
「うちって、ちょっとワイルド?」
と思わざるを得なかった。
でも、
座敷から舞台に表現の場を移した我々の音楽は、
よくも悪くも際立った部分がみえていないと届かないみたい。
それは絵も同じで、
単に綺麗なだけで人の心に引っかかるのは難しい。
そういえば以前、仕事のつきあいで観に行った全国規模の公募展では、
どの作品も大きくて上手で素晴らしかったのだと思うけれども、
今、「ああいう絵があったよね」と言えるのは、
F80とその会としてはやや小さめのサイズに、
ネコが椅子に座り、テーブルにのせられた将棋の盤を前にして「王手」している作品。
上手いだけで人の気持ちにささくれをつくることは難しい