夜の祭り
7月の終わりころから、夜になると地元の祭りのお囃子練習の音が聞こえてきます。
最近は随分と練習時間が少なくなってしまった気がしますね。
色々な事情があるので仕方のないことですが、
生まれる前から聞いている自分としては少し寂しいです。
そして、
このお囃子は「お腹の中にいるときから聞いていないと叩けない」
と言われるくらいに複雑。
「演奏」の観点からはその質の変化と練習量の関係は明白でして・・・。
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試楽(本番の前の日)の、祭りに参加している町内のお宅での飲み会には参加していましたが、仕事の関係で本楽(祭りの本番)に出かけることはありませんでした。
試楽飲み会は飲めるし車は観れるし、のお得感溢れる会なのです、いつもありがとうございます。
今年は特別観覧席の券をいただくことができたので、
初めて、神社の楼門前に設置された席から渡祭と言われる「本番」を観せてもらいました。
40年前まではこの観覧席には女性が昇ることはできませんでした。
神聖なるヤマを上から眺める、
場所によっては神職さんよりも上に座ることになりますから・・・。
太鼓を叩くのだって、女性はできなかった。
良い、悪いではなくそういう祭りだったんです。
今はこの部分だけが「祭り」と捉えられていますが、
歴史を紐解けば、
これは大きな祭の一部でした。
近くの川から神域に使うための石をいただいてきて奉納する、という祭りの一部を構成する一神事が発展したものです。
時代の流れと人々の思いで祭りの形は変わっていきますが、
本来の意味合いもちゃんとわかるように残しておきたい、
という思いもあるようですよ。
遠の朝廷4
不思議な九州旅行記の続きです。
宗像大社の後は糸島に連れて行ってもらいました。
夫婦岩があります。
二見浦の夫婦岩よりも軽快な色の岩です。
海の色も明るい。
岩の前には鳥居があります。
久しぶりの海ですよー。
海に足をつけるなんて何年ぶりかな。
打ち寄せる波にボーっとしています。
一応、
海に面していて、かつては海上交通で栄えた町に生まれ育っているの親近感があります。
帰りがけに、周辺地図を見ていて「伊都国」の名前が目に飛び込んできました。
糸島は『魏志倭人伝』に登場する伊都国に比定される場所。
「その話、最近どこかで聞いたな?」
と記憶を辿りました。
そういえば、
7月9日の満月の日に、
BBSHの先輩の遠隔一斉ヒーリングは糸島から送られたのでした!!
こういうのが「インスタ映えする」ってやつでしょうか?
糸島にはおしゃれなカフェがたくさんありまして、
そのうちの一軒でいただいた食べ物。
糸島の後には筥崎宮。
楼門の扁額「敵国降伏」は亀山天皇のご宸筆を小早川隆景が臨写したもの。
それを受けての「敵国調伏」なんだそうです。
そりゃ、
いきなり攻めてこられて(その前段階で外交文書は届いていたけど)砲弾を打ち込まれたら、
「ハァ!?」
ってなるわね。
亀山天皇は大覚寺統の祖 でもう一方の皇統・持明院統との両統迭立が後々の南北朝時代の原因の一つになるわけで、
そのほかのエピソードを拝読するに、
歴史のターニングポイントにおいてなかなかの濃いキャラだったのではないかと。
ご神域には蒙古軍が残していった錨の部材がありました。
こちらは筥崎宮で買ってきた「おはじき」。
秋大祭の放生会の期間のみ授与されていたのが人気のため(そしておそらく色々問題が発生したため)に作られた別のものだそうです。
筥崎宮の縁起に関係するモチーフやおめでたいものをデザインして博多人形師さんがお作りになったそうです。
17種類入っていますよ。
筥崎宮で九州不思議旅行は終了。
時間に余裕のあるメンバーは住吉さんにもお参りしたようです。
旅行まではあんなにひどかった皮膚の炎症が、
帰ってくるとあら不思議、
どんどん改善していって、
ようやく元の生活リズムに戻ることができつつあります。
お声をかけてくださった方、
ご一緒してくださった方、
糸島とのご縁を繋げてくださった方、
ありがとうございました。
遠の朝廷3
ちょっと不思議な九州旅行記の続きです。
二日目のスタートは香椎宮から。
仲哀天皇の行宮があった場所で、ここで仲哀天皇はお隠れになったそう。
立派な楼門です。
と、
その前の弁天様に皆でお参り。
池のほとりの弁天様です。
この写真の右となりがお社。
こちらの狛犬さんは小顔マッチョ。
ご神域はたくさんのお参りの方でいっぱいでした。
この先に沖ノ島があるそうです。
晴れていても見えないそうですが、
それこそ、神の島に相応しいような気がします。
九州は神功皇后のご足跡が多くて、自然とその時代に関心が向きました。
受験ではあまり出題されないので今まであまり馴染みがありませんでした。
神功皇后は神話とリアルの間におられる方、
という印象を持ちました。
船の夢
こがれこがれて逢ふ瀬は苦労、楽しむ中に何のその。
人目づつみのあらばこそ。
嬉しい世界に住み馴れて、流れ渡りの船のうち、それも浮世ぞ、帰るにもしかじと鳴きてほととぎす。
風は涼しき
作曲:菊岡検校
筝手付け:八重崎検校
作詞:酒井某
三絃:本調子
筝:半雲井調子→平調子→半雲井調子
菊岡検校の作曲を八重崎検校が移調して筝の手付けをしたもの。
名曲中の名曲。
三絃の4⇄6、三⇄四の推移が特徴的。
三絃の手事の中散しではなかなかの高ツボが現れて苦戦しますね・・・なのに何度も弾いてみたくなるフレーズの連続です。
筝も興味深い手が続いて飽きません。
掛け合いは前歌から緊張感のあるものが続いて楽しいです。
これを一人で練習していると
「なんか休みの多い曲やな」
ってなるみたいね。
実際、わたしが一人パート練習をしているのを通りがかりに耳にされた方が、
「あんなに休みの多い曲で楽しいの?」という趣旨の質問をなさったことがある。
休みが多いから、
手が少ないから、
つまらないのでは決してないです。
手が細かく動くに越したことはないですよ。
わたしはそんな細かいことはできないから細かいことができる人は羨ましい。
掛け合いで休んでいるように感じられるパートは、その間、相手の呼吸を読んでいます。
だから実は余白が一番、難しい。
今から思うと、
その余白を、練習とはいえ、聴かせることができない演奏をしていたんですね。
きっちり相手のパートを心で歌いながら演奏すれば、
聞いている人にその実際には聞こえないはずのその部分も響くものなので。
さて、
記録によると10年前に習った曲のようです。
当時の自分はちゃんと弾けていなかったと思います。
そして、
今でも弾けていないです。
遠の朝廷2
武雄神社の次はお昼ご飯を挟んでこちら↓
「観音力カード」の作画担当の作家さんのギャラリーにお邪魔しました。
有田焼の技法を独自に進化させた陶彩画で描かれた仏様、神様、聖なる動物、お花たち。
美しい、
ただただ、美しい。
技術もモチーフも完璧。
それは間違いのないことなんだけれども、
いつもいろんな作家さんの作品に触れた時の「be excited」とはちょっと違う感覚。
個人的には絵画には作家の「病」が表現されていてほしいのね。
その人固有の、唯一無二の「病」が見たい。
そして己の「病」を作品として昇華できるならそれは最上の幸せだと思うの。
本来は見えないその人の「病」を可視化できる才能と努力がなせる技に痺れる。
人の「病」とは人ゆえの不完全さを表現したもの。
私はその人間の人間たる不完全さを目撃したい・・・これはホメオパシーを勉強している時と同じ感覚。
だから、仏様とか神様とか龍とかの綺麗な作品は変態な私には美しすぎたのです。
様々な神様や仏様が印刷されたミュージアムグッズを前に、
「どれが気になる?」と尋ねられた時、
その中には私が親近感をおぼえるものがないことに気づいた。
ギャラリーで一番わたしの目を引いたのは、
抽象画のような陶板でした。
へそまがりだね〜。
さてさて、
私は私の「病」をモロ出しにするために石垣を取材する。
これは武雄神社の石垣。
いい石でした。
次に連れて行ってもらったのは水天宮。
平家の匂いの強い神社。
平家にシンパシーを感じるわたしには大好物な創建由来。
水の神様が向かって左手奥にお祀りされています。
ご神域にはたくさんの椿の木が植えられていて椿好きのわたしは品種の書かれた札にいちいち興奮しました。
この日最後の神社は高良神社。
山を少し登ったところにあるので市街地を一望できます。
ただいま改築中でした。
立派な楼門と拝殿ができるようですよ。
遠の朝廷1
急に決まった九州旅行へGo!
「博多駅に午前10時集合」
「楽器、持ってきてよ」
それだけの情報で始まった旅行でした。
とりあえず、出張パックをネットで予約。
そういえば、博多は初めてですね〜。
「すんごい都会」というイメージがあります。
今回の目的は都会とは無縁で、
どうやらひたすら神社を巡る模様。
参加者さんとはほとんどが初対面。
ストーカー的にブログの読者になっていて、
勝手に知り合い状態の方はいらっしゃいましたが・・・変態炸裂。
最初の目的地は佐賀県の武雄神社。
高速のI.C.の名前にいちいち萌えました・・・「大野城」「水城」「吉野ヶ里」「板付」などなど。
だいたい、
「太宰府」って地名が未だに生きているだけで興奮するもんな〜。
遠の朝廷だよ、鎮西探題だよ。
萌え萌えだよ。
さて、
福岡と佐賀の鳥居はちょっぴりずんぐりむっくり。
石の文化の影響が強いからかな。
継体21(527)の磐井の乱では畿内とは異なる石の文化に大和政権側の人たちは面食らったとかなんとか・・・。
メインはこちら、
武雄の大楠でした。
表示によると樹齢3000年。
「楽器持ってきてよ」の理由はここ。
壱越調の蘭陵王を半帖まで・・・あまり長いのも聞きなれない人には辛いかな、と思って。
吹き始めは緊張して手がプルプル震えていたけれども、
だんだんと調子が上がってきて最後のほうは楽しくなっていました。
もともと遠鳴りする楽器なので屋外で吹くのはとても気持ちがいい。
おまけに周囲が竹林だから菅から出る音と竹が共鳴しているのが感じられて、これまたいい感じ。
よくよく考えるとすごいことなんだよね・・・御神木を前に一緒にいた人たちは総勢16人。
貴重な経験だったと今更じわじわ来ています。
夜は博多で有名な鶏皮のお店へ。
これが鶏皮なんだって!
仕込みに時間がかかるらしいです。
お酒が進む味や〜。
この日は武雄神社の他にもお参りしましたが、
それはまた後ほど。